Introduction
花が笑む程の、いとしい想いをアナタへ――
フラワーショップで働く彼と、恋人であるアナタ。
花に笑いかけるように、
甘酸っぱい愛情を注いでくれる彼との日々を描いた
心の癒しをお届けする恋愛シミュレーションゲーム。
花が繋ぐ恋物語をお届けします。
花が笑む程の、いとしい想いをアナタへ――
フラワーショップで働く彼と、恋人であるアナタ。
花に笑いかけるように、
甘酸っぱい愛情を注いでくれる彼との日々を描いた
心の癒しをお届けする恋愛シミュレーションゲーム。
花が繋ぐ恋物語をお届けします。
【環】
「あ……あの!」
呼び止められ、足を止めて彼を見上げる。
【主人公】
「どうしたの?」
【環】
「その……え、っとー……」
【主人公】
「うん?」
環くんはどこか焦ったような、
何か必死な様子でこぶしをぎゅっと握りしめた。
【環】
「俺、その……ッ……」
【環】
「俺、先輩が好きです!」
【主人公】
「ふふ、ありがとう。私も環くんのこと好きだよ」
【環】
「いや、そういう好きじゃなくて……」
【主人公】
「え?」
【環】
「俺が言ってるのは、人としてじゃなくて、
恋愛として好きって意味だから!」
【主人公】
「……………………え?」
【環】
「この前彼女に浮気されて、泣いてたヤツが
何言ってんだって思うよね」
【環】
「でも……でも本気だから!
マジで先輩のこと、好きなんだ……!」
環くんの言葉に、手も、足も、動かなくなる。
そんな私の前で、環くんは
真剣な顔で気持ちを言葉にした。
【環】
「あの時……ブルースターをくれた
先輩の笑顔に、一目惚れしたんだ」
【天弥】
「久しぶり」
【主人公】
「うん、本当に久しぶりだね」
まさに今日、彼のことを思い出していたけれど
こうして再会するなんて思ってもみなかった。
(し、心臓が……早くなってる!)
早鐘を打つ胸にそっと手を当てて
落ち着くように心の中で言い聞かせる。
そんなわたしの葛藤に
気づいているのか、いないのか。
美波くんは隣に並んだまま話を続けた。
【天弥】
「委員長、少し印象変わってて、すぐ気づけなかった。
でも会えて嬉しい」
【主人公】
「え……!」
(会えて嬉しい? あの美波くんが?
どうして……)
想像もしていなかったセリフに驚いて、
言葉に詰まってしまった。
動揺を悟られないよう、チラッと視線を投げると
美波くんは変わらぬ表情。
(きっと深い意味はないんだ)
(同級生にばったり会えたら嬉しいって、
きっとそういうことだよね)
並べたおみくじが揃って大吉で嬉しい。
それが大好きな人とお揃いならなおのこと。
【主人公】
「良かった、リベンジができて。
去年は本当にショックだったもん」
【北斗】
「ぷっ……ははは! 引いた俺よりも
お前のほうがショック受けてたもんなぁ」
【主人公】
「だって、大凶なんて初めて見たから!」
【北斗】
「でも、事故や大きなケガもなかった。
お前の大吉のおかげかな?」
半分からかうように頬をつつかれるけど、
私は逆に自信満々だった。
【主人公】
「だから言ったでしょ。
大吉と大凶が合わされば吉になるって」
去年の初詣の様子を思い出しながら話すけれど、
自分でも暴論で突っ走った自覚はある。
ほんの少しだけ。
【北斗】
「そりゃ、足して割ったらそうかもしれないが」
【北斗】
「まさか俺のとお前のを二枚合わせて
おみくじ掛けに結ぶとは思わなかったよ」
【北斗】
「『今年は二人合わせて吉だから大丈夫』
……だもんな」
【主人公】
「きゃっ!?」
【銀之助】
「……ちょっと。
やめてよ、寝込みを襲われたみたいな声」
【銀之助】
「一応言っておくけど、何もしてないからね?」
【主人公】
「ご、ごめんなさい!! つい気持ちよくて……」
【銀之助】
「まあ自由にしててって言ったのは僕だけど。
シャワー浴びて出たらスヤスヤ寝てるんだもんなぁ」
【主人公】
「あぁ……本当にごめんなさい……!」
【銀之助】
「おかげで洗濯もできたし、
靴の乾燥も終わって届きました。もう履けるよ」
間近で微笑んだ栖川さんから、私と同じ香りが漂う。
同じバスルームで同じシャンプーやボディーソープを
使ったのだから、当然だ。
けれどその今更の当然が、私を追い詰めた。
(この状況、どうしたらいいの……!)
【主人公】
「あ、その花はね、ブルースターだよ」
【環】
「へえ、ブルースターって言うんだ」
【主人公】
「花言葉は、『幸福な愛』や『信じ合う心』なの」
【環】
「この花と同じ、可愛い花言葉だね」
【環】
「こんなに素敵な贈り物をもらえるなんて、
サマーバレンタインが好きになりそう! なんてね」
【主人公】
「それは嬉しいな」
【主人公】
「環くんが、この花言葉みたいな
素敵な恋人に出会えますようにって」
【主人公】
「願いの意味も込めたプレゼントだから」
花に向けていた顔を上げて笑いかけると
環くんとパチッと目が合った。
【環】
「は……」
【環】
「あ……いやいやいや! 俺達、初対面だよ?
なのに、そんな願い事してくれるなんて……」
【環】
「優しすぎるよ」
なにやら小さな声で呟いて、
環くんは俯いてしまった。