Character

碧木星利奈
あおき せりな
(※名前変更可能)

(※名前変更可能)

【梢】
「ほら、美波くん!
次の対戦相手はあなたよ。こっちにきて」
【天弥】
「俺、何するんですか?」
【梢】
「そうねえ、接客……って言いたいけど、
今日は定休日だし、どうしようかしら」
【天弥】
「…………」
【環】
「俺、どんな内容でも負けませんよ!」
【天弥】
「…………」
【環】
「え……っと……
そんなに見つめられると……」
【天弥】
「あー……」
【環】
「天弥さん?」
【天弥】
「わーやられたー」

スンと鼻を啜りながらマフラーに顔を埋める仕草が
ちょっとだけ幼く見えた。
(可愛い……!)
【天弥】
「何? 急に笑って」
「主人公】
「ふふっ。わたしだけの秘密」
【天弥】
「なんでも話すんじゃなかった?」
【主人公】
「これはダメ」
【天弥】
「なんだ、それ」
ちょっと不満そうだったけど、これだけは、
愛おしい人の可愛い姿だけは、わたしだけの特別。
【主人公】
「……よし、と。これで大丈夫かな」
マフラーをぐるぐるに巻きつけ、
満足したわたしが離れようとした時だった。
【主人公】
「え……」
赤い糸が視界に飛び込んできた。
わたしの左手からすっと伸びた赤い糸は、
真っ直ぐに、天弥くんへと向かっていた。
【天弥】
「ん?
……なんか見える」
【主人公】
「て、天弥くんも?
わたしも見えるんだけど、これって……」
【天弥】
「噂の、運命の赤い糸ってやつだったりして」

ほくちゃんは私から受け取った花を合わせて
手際良くブーケを作っていく。
さすが何も言わなくても私の好みをわかっていて、
素敵な一束ができあがっていった。
けれど仕上げに入るところで、
ほくちゃんが手に取ったのは一輪だけ違う色合いの花。
【北斗】
「……うん、やっぱりいい感じ」
【主人公】
「赤いアネモネ……?」
【北斗】
「ああ、これは俺が選んだんだ。
で、このブーケは俺からお前へのプレゼント」
私が呆けている間にも、ブーケが形になっていく。
淡い春のブーケの中に、一輪。
鮮やかに目に残る赤いアネモネ。
ほくちゃんらしい取り合わせでもあるけれど、
それ以上に……
(赤いアネモネ……)
そこには言葉が、想いがあった。
私への、ほくちゃんの想い。

話しているうちに、背後で扉の開く音がする。
その瞬間、ふわりと香る花の匂い。
なぜか予感めいたものがして、
心臓がどくんと鳴った。
【???】
「お待たせして申し訳ありません」
振り返ると——
あの人が、いた。
【主人公】
「えっ……」
思わず言葉に詰まり、目を見開く。
(嘘……)
いつかまた会えたらいいなと思っていた人が
大きなブーケを抱えて立っていた。
まさかそんな奇跡はないだろうと思っていたのに、
もう一度会えるなんて。
目が合うと、柔らかく微笑まれる。
その仕草が記憶の中のお兄さんと重なった。
【北斗】
「ギン、その大きなブーケ、どうしたんだ?」
【銀之助】
「贈答用にって言われて作ってたんだけど、
その間にお客様に急用の電話が入っちゃったんだ」
【銀之助】
「2、3時間で戻るって言われたから、
バックヤードで保管しておこうと思ってさ」
突然の出来事に、頭の中が真っ白になる。
【銀之助】
「あ、ご挨拶が遅れてすみません。前回とは別の方ですね。
初めまして、Fill Flowerの栖川銀之助です」
そう言って、彼は抱える程大きなブーケを
近くに置いてあった空の花桶に移した。


【環】
「あ……あの!」
呼び止められ、足を止めて彼を見上げる。
【主人公】
「どうしたの?」
【環】
「その……え、っとー……」
【主人公】
「うん?」
環くんはどこか焦ったような、
何か必死な様子でこぶしをぎゅっと握りしめた。
【環】
「俺、その……ッ……」
【環】
「俺、先輩が好きです!」
【主人公】
「ふふ、ありがとう。私も環くんのこと好きだよ」
【環】
「いや、そういう好きじゃなくて……」
【主人公】
「え?」
【環】
「俺が言ってるのは、人としてじゃなくて、
恋愛として好きって意味だから!」
【主人公】
「……………………え?」
【環】
「この前彼女に浮気されて、泣いてたヤツが
何言ってんだって思うよね」
【環】
「でも……でも本気だから!
マジで先輩のこと、好きなんだ……!」
環くんの言葉に、手も、足も、動かなくなる。
そんな私の前で、環くんは
真剣な顔で気持ちを言葉にした。
【環】
「あの時……ブルースターをくれた
先輩の笑顔に、一目惚れしたんだ」

【天弥】
「久しぶり」
【主人公】
「うん、本当に久しぶりだね」
まさに今日、彼のことを思い出していたけれど
こうして再会するなんて思ってもみなかった。
(し、心臓が……早くなってる!)
早鐘を打つ胸にそっと手を当てて
落ち着くように心の中で言い聞かせる。
そんなわたしの葛藤に
気づいているのか、いないのか。
美波くんは隣に並んだまま話を続けた。
【天弥】
「委員長、少し印象変わってて、すぐ気づけなかった。
でも会えて嬉しい」
【主人公】
「え……!」
(会えて嬉しい? あの美波くんが?
どうして……)
想像もしていなかったセリフに驚いて、
言葉に詰まってしまった。
動揺を悟られないよう、チラッと視線を投げると
美波くんは変わらぬ表情。
(きっと深い意味はないんだ)
(同級生にばったり会えたら嬉しいって、
きっとそういうことだよね)

並べたおみくじが揃って大吉で嬉しい。
それが大好きな人とお揃いならなおのこと。
【主人公】
「良かった、リベンジができて。
去年は本当にショックだったもん」
【北斗】
「ぷっ……ははは! 引いた俺よりも
お前のほうがショック受けてたもんなぁ」
【主人公】
「だって、大凶なんて初めて見たから!」
【北斗】
「でも、事故や大きなケガもなかった。
お前の大吉のおかげかな?」
半分からかうように頬をつつかれるけど、
私は逆に自信満々だった。
【主人公】
「だから言ったでしょ。
大吉と大凶が合わされば吉になるって」
去年の初詣の様子を思い出しながら話すけれど、
自分でも暴論で突っ走った自覚はある。
ほんの少しだけ。
【北斗】
「そりゃ、足して割ったらそうかもしれないが」
【北斗】
「まさか俺のとお前のを二枚合わせて
おみくじ掛けに結ぶとは思わなかったよ」
【北斗】
「『今年は二人合わせて吉だから大丈夫』
……だもんな」

【主人公】
「きゃっ!?」
【銀之助】
「……ちょっと。
やめてよ、寝込みを襲われたみたいな声」
【銀之助】
「一応言っておくけど、何もしてないからね?」
【主人公】
「ご、ごめんなさい!! つい気持ちよくて……」
【銀之助】
「まあ自由にしててって言ったのは僕だけど。
シャワー浴びて出たらスヤスヤ寝てるんだもんなぁ」
【主人公】
「あぁ……本当にごめんなさい……!」
【銀之助】
「おかげで洗濯もできたし、
靴の乾燥も終わって届きました。もう履けるよ」
間近で微笑んだ栖川さんから、私と同じ香りが漂う。
同じバスルームで同じシャンプーやボディーソープを
使ったのだから、当然だ。
けれどその今更の当然が、私を追い詰めた。
(この状況、どうしたらいいの……!)

【主人公】
「あ、その花はね、ブルースターだよ」
【環】
「へえ、ブルースターって言うんだ」
【主人公】
「花言葉は、『幸福な愛』や『信じ合う心』なの」
【環】
「この花と同じ、可愛い花言葉だね」
【環】
「こんなに素敵な贈り物をもらえるなんて、
サマーバレンタインが好きになりそう! なんてね」
【主人公】
「それは嬉しいな」
【主人公】
「環くんが、この花言葉みたいな
素敵な恋人に出会えますようにって」
【主人公】
「願いの意味も込めたプレゼントだから」
花に向けていた顔を上げて笑いかけると
環くんとパチッと目が合った。
【環】
「は……」
【環】
「あ……いやいやいや! 俺達、初対面だよ?
なのに、そんな願い事してくれるなんて……」
【環】
「優しすぎるよ」
なにやら小さな声で呟いて、
環くんは俯いてしまった。